2018 年 8 月発売の Portal Games 最新作である協力型推理・謎解きボードゲーム『ディテクティブ』(Detective: A Modern Crime Board Game) は、そのストーリー構成やギミックを含め、これまでの同系統の作品と一線を画すと一部では評されています。

従来と比べて新しい点はゲームそのものだけでなく、同梱のルールブック。ゲームそのものについてのルール説明に加え、どのように遊べば最大限プレイを楽しめるかのヒントが散りばめられているほか、協力型ゲームのみならずボドゲ界の宿命ともいえる奉行問題 / アルファプレイヤー問題についても言及する「デザイナーズ・ノート」と称したセクションが特別に設けられています。

この新しい試みについて、同作品のデザイナーであり、Portal Games の CEO でもある Ignacy Trzewiczek 氏が、その目的と背景について同社ウェブサイトで述べた記事があるので、これは興味深いと思い、ざっくりとですが翻訳してみました。

(元々、この良い意味で従来とは少し変わったルールブックについて、9 月 3 日配信の北米発おかんキャス 第 54 回で触れたところ、Twitter で相互フォロー中の有我悟さんから奉行問題関連でのコメントをいただいていたところ、ちょうどこの記事に出くわし、そうだ訳してみようと思い立ちました。有我さん、ありがとう!)

【翻訳ここから】


『ディテクティブ』のルールブックは、ゲーム本体のルールとは別に、ゲームを最大限に楽しむ方法についてもアドバイスを記載する初の試みとなりました。

なぜそうすることになったのか?『ディテクティブ』は他のゲームと何が違うのか? どうしてゲームを遊ぶのに体調が大切なのか、プレイを急いではいけないのか、心が軽い状態で臨むべきなのか、冗談やふざけたジョークはなぜ禁止なのか……?

『ロビンソン・クルーソー』に間違った態度で挑むと、6 ラウンドで死んでしまいます。するとこう言うでしょう、「なるほど、これはなかなかシリアスなゲームだな。よし、次はもっと意識を集中してプレイしよう」と。

一方、『ディテクティブ』に間違った態度で挑むと、ストーリー全体の 2 割は自分のせいで台無しになってしまいます。するとこう言うでしょう「あーあ、ゲームエクスペリエンスが 2 割も台無しになってしまったじゃないか。こんなのやってられるか」と。

『ディテクティブ』には 5 つの事件(※訳注:英語で Case、シナリオに相当する)があり、それぞれの事件は解決に約 3 時間かかります。つまり合計で 15 時間以上の楽しい時間が過ごせるようになっているというわけです。プレイヤーの皆さんはもちろん、最大限にゲームを味わい尽くしたいですよね。私には、そうしてもらえるようできる限りのことをお手伝いする責任があると感じています。それでルールブックに丸ごと 1 セクション(※訳注: ルールブックの最後のページにある「デザイナーズ・ノート」のこと)を作り、さらにはいくつもの小さなヒントを散りばめることにしたのです。

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ルールブック上の「デザイナーズ・ノート」では、プレイヤーの役割について論じています。これはゲームのルール自体とはまったく関係はなく、全面的にテストプレイで得られた知見によるものです。テストゲームが終わった後、すばらしいメモを取っているプレイヤーもいれば、ロールプレイがとても上手くてゲームの世界観をそのまま再現するようにカードを読むプレイヤーもいることが分かりました。他にも、ノートパソコンといっしょに座って、Antares(※訳注: 作品に登場する犯罪捜査機関の名前、アンタレス)のウェブサイトを閲覧し、個人情報ファイルを確認したり、指紋の記録をデータベースに入力して検索するのが好きな人もいます。

私たちの知見と経験はすべて、この「デザイナーズ・ノート」としてまとめ、ルールブックに記載してあります。ゲームを始める前に、各プレイヤーにゲームを進行するうえでのメタな役割を選んでもらってください。メモ取りを担当するのは誰か、コンピューターを扱うのは誰か、話し合ってください。そして全員に何かしらの役割があり、それぞれの役割がプレイヤー自身にとってクールで楽しいものであるよう確認してください。

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このルールブックの「デザイナーズ・ノート」では、アルファプレイヤー(※訳注:いわゆる奉行)の問題についても論じています。この問題は、協力型ゲームならどれもが直面するものです。ここでは私たちは声を大にしてこの問題について言及しますし、プレイヤーの皆さんにも対処して欲しいと願っています。このことは『ロビンソン・クルーソー』でも、『ファースト・マーシアン』でも触れませんでした。ではなぜ『ディテクティブ』では論じるのか? 繰り返しになりますが、これもテストプレイでの知見と経験に基づいています。

誤った理論を掲げたアルファプレイヤーや、同じ卓のメンバーをしゃべり負かして無理強いするプレイヤーが 1 人いるだけで、事件が台無しになるかもしれません。私たちがルールブック上で「全員が発言するように」と言っているのはそのためです。そして卓を囲む全員がそれぞれに理論を形作り、考えをチームに伝える機会を持ってほしいのです。プレイヤー全員で、どの筋書きが最も可能性が高いか、そして犯人は誰なのかを決定する必要があるのです。

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また、良いメモを取ることや、短い休憩を取って足をストレッチし、心をリセットすることについても書き記しました。こうしたゲームと関係なさそうに見える事柄も、すべて「できる限り、最高のゲームエクスペリエンスを味わってもらうお手伝いがしたい」というシンプルな考えに基づいています。

私とこのゲームの製作に関わったチーム全員が、あなたに『ディテクティブ』の箱を開けて友達といっしょにテーブルを囲み、最初の事件を解決し、最高の時間を過ごしてもらいたいと願っています。数時間のあいだ、あなたは事件を解決する探偵です。それは驚くようなエクスペリエンスとなることでしょう。

【翻訳ここまで】

ざっくり訳であることをご了承のうえ、ご利用ください。
何か致命的な誤り等あればお知らせください。

英語原文: "Ignacy Trzewiczek on Detective rulebook" at Portal Games (Thank you, and I really like the whole idea about the rulebook! And I love love Detective, so entertaining, so moving, so deep. Definitely, the best board game I've played in 2018 and probably of my lifetime as well.)