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海外在住も10年選手になり、ますます浦島化がすすむ今日この頃。日本のこと(特にボードゲームシーン)にはほとんどついて行けていない隊員2号ですが、このゆるいブログの向こう側の皆さまはいかがお過ごしでしょうか。今回は当地アメリカでここ2~3年の間に目にした、欧州製を中心とする(非アメリカ製)ボードゲーム周りの変化について綴ってみたいと思います。


広がりつづける裾野

 ボードゲーム人口が増えているらしい、とだけ言いたければ、たとえば全米最大規模のボードゲームコンベンション「ジェンコン」(GenCon)の参加者数が増えたとか、近所にまた新しいボードゲームカフェが開店したとか、そういった指標もあるかもしれないが、今回注目したいのはごくごく普通の生活目線での変化だ。

当地アメリカでは、日常生活での肌感でも、ここ2~3年くらいの間にめざましい勢いでボードゲームの裾野が広がっているのが見て取れる。全米に展開する巨大スーパーチェーンのターゲット(Target)や実店舗型書店の最大手バーンズ・アンド・ノーブル(Barns and Noble)などで、ボードゲーム売り場が目をみはるような拡大を遂げつつあるのだ。

以下に紹介する話は、ここ数年の間に複数の州で複数の店舗において目にした事柄を、限られたサンプル数ながらも可能な限り平均化されるように努めてまとめてみた。(今回例に引いた大手小売チェーンはどちらも、基本的には全米でほぼ均一な商品展開と流通が成されていると考えてもらって良いと思う。日本全国どこのイオンに行っても置いてあるものがほとんどいっしょなのと同じ原理だ。)

牛乳、Tシャツ、紙オムツ……そしてボードゲーム

真っ赤な的(まと)がトレードマークの「ターゲット」は、全米で売上高5位、店舗数1500以上という一大小売チェーンだ。アメリカではちょっと大きめの町ならばどこにでも1店舗は建っているだろう。建物の感じや規模でいうとコストコのそれをイメージカラーの赤でペイントしてこぎれいにしたものを想像してもらえばいい。店内の商品ラインナップでいうと昔のダイエーやイトーヨーカドーのようなイメージだろうか、ワンフロアのだだっ広い店内に生鮮品コーナーから衣料品一式、電化製品、ちょっとした家具など、生活必需品プラスアルファが揃っている。

その中には玩具コーナーもあって、隊員3号が赤子の時分からディズニープリンセスのコスチュームからレゴブロックから、本当に散々搾取されたお世話になったのだけど、かつてその端っこの方にはどの店舗にも共通して商品棚2~3面分のボードゲームコーナーが、ちょっと申し訳なさそうな、世の中から取り残されたような独特の寂寥感とともに「あった」。並んでいるのはUNOやらジェンガやらのパーティーゲームのほか、モノポリーやLIFE(人生ゲーム)、リスク(Risk)、クルー(Clue)などのファミリー向けアメリトラッシュ(Ameri-trash、コンセプトだけが先走っているアメリカ製のゴミゲーの意で、よくヨーロッパ製ボードゲームと対比して自嘲的に使われる)に分類されるタイトルばかりだった。ほんの1~2年くらい前までは、ずっとそんな様子だったと記憶している。(なぜ覚えているかというと、子どもがお友達の誕生会に呼ばれると、うちは決まって大抵、布教を兼ねて何かしらのボードゲームを贈ることが多いので、ターゲットのゲームコーナーはけっこう足しげく物色してるのだ。)

ところが、だ。最近のターゲットは一体どうしてしまったというのだろう?!(良い意味で)

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右を見てもボドゲ!

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左を見てもボドゲ!

あちらからこちらまで、 壁沿いにズラーっとアナログゲームコーナーになっている。商品棚でいうとおよそ10面分くらいある(1面=上の写真の「ストラテジーゲーム(Strategy Game)」と書かれたグリーンのセクション相当)。目分量で控えめに見積もっても2年前の約3倍以上あると思う。

 しかも増えたのは量だけではない。置いてあるゲームの質とバラエティも以前からすれば格段に向上した。前述の写真にある「ストラテジーゲーム」と表示された棚には『カタンの開拓者たち』『チケット・トゥ・ライド』『ディクシット』などの万人向け定番ボドゲタイトルが並んでいる。しかも目をこらせばもう少し中級向けの『街コロ』『パンデミック』『ノッティンガムのシェリフ』まで置いているではないか。見直したぞ、ターゲット。


生き残りをかけてホビーとギフトに注力

全米最大手の書店チェーン「バーンズ・アンド・ノーブル」は、Amazon帝国との厳しい戦いの中、現在でも700店舗以上をかかえてえんやこら孤軍奮闘中だ。

バーンズアンドノーブル外観

わざわざ書くまでもなく「できるだけ早く安く、たくさんの品揃えの中から選んで本を買う」という目的のためだけならば、実店舗の書店にわざわざ足を運ぶ時代ではなくなってしまった。これは日本もアメリカも、ほとんどのいわゆる先進国で同じトレンドだろう。数々のリアル書店が次々に商売をたたむ中、バーンズ・アンド・ノーブルは今日も何とか生き残っている。確かこのビジネスは、いち早く店内にスターバックスコーヒーなどによる喫茶コーナーを設け、単なる書籍やCDの販売ではなく、書店という「エクスペリエンス」そのものを売り始めたんではなかったかと記憶している。

そして近年ではさらに差別化が進んで、ちょっとした小物類や教育玩具などのギフト好適品コーナーのほか、かわいい文房具、フィギュア、そしてボードゲームなどのホビー用品セクションが拡充をみせている。以下の写真を撮った店舗の場合だと、全店内スペースの約1割がホビー用品売り場に充てられている。

ホビー用品売り場
セーラームーンのフィギュアに出迎えられてホビーセクションに入ると、奥の方にボードゲームのカラフルな四角い箱たちが並んでいるのが見える。

いわゆるパーティーゲーム
いわゆるファミリーゲーム、パーティーゲームの島。

新作コーナー
「ポップカルチャー」と札の立った棚にも、ファンタジーフライトゲームの『ゲーム・オブ・スローンズ』(Game of Thrones)などが置かれてある。(あれってポップカルチャー? ギークカルチャーちゃうん?というツッコミは敢えて控えるとして。)

こちらこそ新作コーナー
お、だんだんと目指す方向性に近づいて来ましたね-。『セブンワンダーズ・デュエル』『インペリアル・セトラーズ』『ニューヨーク1901』……悪くない感じです、いや、むしろ大手小売チェーンでこれってすごくないか?!

ユーロゲームキタ-!
なかなかに壮観。「まさかバーンズ・アンド・ノーブルで『ドミニオン』『スモール・ワールド』『ファイブ・トライブス』などが並んでるのを見る日が来るとは思ってもみなかった(ボドゲ歴30年+在米20年の隊員1号談)」だそうだ。さらによく見ると『シビライゼーション』のようなプレイ内容重くて時間も長め系タイトルまで置いている。やはりコンピューターゲーム側での認知度を意識してのことだろうか。

 

場と機会の提供による新規顧客の開拓とリピーターの創出(だよね?)

しかもバーンズ・アンド・ノーブル、ゲームを並べて売るだけでは終わらない。地元のボードゲームサークルとコラボして、不定期にボードゲームの体験プレイイベントなども開催しているのだ。新規顧客の開拓とリピーターの創出を意識してのことに違いない(というか、それ以外に考えられない)。

ゲームイベント

ある土曜日の夕方には、店舗入口と併設のスターバックスの間というゴールデンスポットに専用のテーブルが2卓ほど設置され『チケット・トゥ・ライド』『マンチキン』『街コロ』『クワークル』『スーパーファイト』(Superfight、日本未発売?)など、初心者でも入りやすいタイトルをゲームマスターによる説明付きで体験できるようになっていた。通りすがりのお客(主に子ども連れ)が何組か、立ち止まって観察したり、ゲームを楽しんだりしていった。こういう機会はボードゲーム購入層、しいてはプレイ人口そのものの増加につながると思うので、今後もぜひ継続的に開催していって欲しいと願っている。


私なぞが心配しなくても市場はすでに拡大してる?

そのような訳で、一般人が日常レベルで見てもボードゲーム市場まわりがブイブイいってるのは明らかで、じゃあこれだけ大手小売チェーンまで動いているということは一体どういうことなんだ、と問うていた矢先に、たまたまこんなデータを隊員1号が見つけてきてくれた。水色の方の数字に注目していただきたい。
 


私隊員2号はボードゲームはするけど数字はけっこう苦手なんで、一言でまとめると「ここ5年間で北米におけるボードゲーム市場の規模は2倍以上になっている」ということらしい。金額的には5億ドル(約500億円)から10億ドル(約1000億円)超になってると。

日本で1000億円規模ったらピタリ賞は水産缶詰の市場で、その他だとアイドル、地方競馬、(ポケモンGoブレイク前の)ポケモン関連などの各市場もそれくらいらしい。そしてウソかホントか同人誌やJリーグの市場規模を上回ってるし(by 市場規模マップ)。人口差も為替レートも一切考慮に入れていない単純比較とはいえ、ボドゲがこれというのは確かにすごい。

どうりでこれだけ大手も乗ってきてるわけだ。しかも逆に大手が売ってくれるからこそ広まる訳で。

新しい時代の幕開けですかね?!






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